<第57回 日本栄養改善学会学術総会>
実践と研究が織り成す "栄養学" の構築と発展をめざして
一人ひとりの望ましい食の実現から地域の環境づくりまで

2010年9月10日(金)〜12日(日)、埼玉県坂戸市にある、女子栄養大学(坂戸キャンパス)で第57回日本栄養改善学会が開催されました。
今回のテーマは、「実践と研究が織り成す "栄養学" の構築と発展をめざして 一人ひとりの望ましい食の実現から地域の環境づくりまで」です。

サン食品工業のデパウラチームの今年の発表は、示説発表の「成人期:給食経営管理」のセッションにエントリーしました。
演題は『事業所給食における「品揃え理論」と「Free」の応用 〜マーケティングの視点による静かな食育の実践〜』です。

田中浩子 青山康子 桑原彩 澤田好宏
Keyword:事業所給食、マーケティング、食育
2009年夏から実施しているサラダ盛り放題を組み入れたイベントメニューの事例報告です。

デパウラチームは「2002年のカイゼン」以来、様々な取り組みをしてきました。(詳細は『栄養と料理』2007年1〜3月号の「デパウラをカイゼンする」をご覧ください)その中で得た仮説があります。

品揃えについては、小売業における「品揃え形成」に関する理論をベースとしています。
消費者にとって
意味のある品揃え、物を提供していくことの意思決定が、マーケティング活動の根幹である
また今回のもう一つの理論はクリス・アンダーソンの「Free」理論です。
クリス・アンダーソンは『ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』で有名です。

Freeから利潤を生み出すビジネスモデルを3つ挙げていますが、その中の1つ「Freeではないものを販売しそこからFreeを補填する直接的内部相互補助」も今回のイベントメニューには取り入れています。

そして最も重要なのは、この理論の根源となっている理論。「人は Freeになったとき
心のスイッチが 切り替わる」
この2つの理論をイベントメニューに組み込み、野菜の摂取量の増加を促そうという試みです。

百貨店の従業員食堂において、顧客満足向上のためにサラダバーの設備を利用した「野菜盛り放題」(1回限り)を組み込んだイベントメニューを6回実施したところ、積極的な野菜類(ポテトサラダ等の調理品を含む、以下同じ)の傾向が見られたため、その利用状況を把握することを目的としました。

サラダバーの品揃えは、盛り放題を実施しない日と同様に仕入や調理オペレーション、他のメニューとの兼ね合いにより変化し、毎回11〜17種類準備しました。(品切れによる追加を含みます)

盛り放題を組み込んだイベントメニュー(計量開始後21回)の平均支持率は19.9%であり、その野菜類の平均は177.9gでした。同日の量り売りの平均量は116.0gでした。盛り放題を実施しない日のサラダバー(量り売り)の平均支持率は6.3%であり、平均利用量は110.1gでした。盛り放題実施時の野菜(素材)と調理品の質量比はおよそ4:6で、盛り放題を実施しない日は6:4でした。

調理品の準備数が増えると、摂取量の中の調理品の割合が増えましたので、エネルギーが過剰にならないようにするためには、調理品を押さえたほうが良いと考えられますが、かぼちゃサラダなど人気メニューが入らないサラダバーは魅力的ではないので、そのあたりの兼ね合いがむずかしいところです。

「野菜を食べましょう!」と声高に叫ぶのではなく、心のスイッチが切り替わり、自然と野菜をとってしまう
システム創り・・・・これが私たちが実践する「静かな食育」です。





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